10年前に考えていたことは現在どうなっているのか?
(1)国際競争力
パッケージソフトの大部分は欧米製
・90年代のオープン化時代に自前の開発を怠った
工学的アプローチの遅れ
・国内だけでの開発競争
・バブル崩壊と同時にベテランが居なくなる
・ユーザ企業のコスト削減で技術者不足に陥る
競争力が強いと思われる要素
・品質や機能が優れた情報システムが構築できる
・組み込み技術
(2)下請け構造
60年代・・・メーカー主体で一貫して開発~保守を行う
70年代・・・独立系ソフト会社の登場、メーカーからの開発を受注するのがメイン
80年代・・・金融系、官公庁を中心にした大型開発が主体となる
90年代・・・開発規模の縮小、オープン化、パッケージ化が押し寄せる
多階層下請け構造は小さくなり、専門特化したベンダーが相互に連携する様になる
(3)顧客志向
顧客の要求を全て聞く「セネラリスト型」は行き詰る
求められる技術やビジネスが複雑化している
少数の「コディネート型、と「付加価値と営業力重視型」とになる
高度なプロジェクトマネージメントを行うコーディネート型
専門的な領域で付加価値を提供し、直接受注できる営業力重視の型
(4)人月見積もり
80年代までは開発コード行数での金額換算であったが
作業の多様化や開発言語の特性により人月での金額換算になって行った
人月では、システムの規模と価値が見えない、生産性向上が図られない等々
成果物を作成するための技術要素を細分化する
技術要素ごとに単価設定し、これを人月で積み上げて成果物作成費用とする
システム開発金額はこれら成果物の集合体として金額合算する
(5)最適商品
80年代まではメーカー主体の「垂直統合型」であった
プロセッサー、OS、ミドルウェア、ネットワークと全てメーカーが担う
90年代になると新しいベンダー製品を組み合わせる「水平分業型」に移る
高集積回路、パソコン、DBの領域に新しいベンダーが登場した
21世紀になると複雑化した分業体制に無理が出始めた
広範囲な領域を担当する人材の確保が追いつかない
トラブル修復に手間が掛かり過ぎる
APL連携が複雑になり過ぎる
再度「垂直統合型」を志向する
各ベンダー製品を自社の統合モデルに組み込んでいく
組み合わせを絞り込み、過度な複雑さを解消する
技術的な絞込みも行い、機能面や可用性を向上させる
自社技術で開発するモノと技術提携を受け製品開発するモノとになる
(6)ソフトウェアの価格
ソフトの価格が同じなら、シェアが高い方を選ぶ、ことが多かった
個別に構築してきた情報システムを全体で統合する動きが出てき始めた
統合基盤プラットホームの上にシステムは構築される
・人へのサービスの統合機能・・・ビジネスワークフローの定義等
・プロセスの統合機能・・・・・・EnterpriseApplicationIntegration等
・アプリケーションの統合機能・・Webアプリとサーバーの連携等
・情報の統合機能・・・・・・・・データウェアハウスやBI等
価格やシェアに寄って左右されるのではなく
ベンダー提供のビジョンやアーキテクチャーを評価しなければならなくなる
(7)コンサルテーション
コンサルタント批判が出始めた
・契約料金が膨大な額になる
・成果物がプレゼン資料的であり、開発の役に立たない
多様化、高度化したITを駆使し経営課題を解決するには
明確な方向性を指し示すことの出来るコンサルタントの存在が必要
(8)システム部門のスリム化
システム部門の子会社化が盛んになりつつある
組織内での人材育成が出来なくなり、システムの空洞化が始まる
経営戦略と結びついたシステムの企画立案が出来なくなる
ベンダー提案の是非を評価できなくなる
スリム化は是だとしても、過度なスリム化はすべきではない
(9)オフショア
コストの安い中国へのオフショア開発は盛んになりつつある
中国ではIT教育の質も高い人材が確保できる
逆に日本での技術者の教育が疎かになり十分な成果に結びつかない
質の高いオフショアを求めるなら、日本の技術者にも教育をしっかり施す
オフショアビジネスとして成り立つ様に努力する
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