何が問題なのか

11年前(平成15年6月)に2015年の高齢者介護についての報告書が出されています
  資料:高齢者介護研究会報告書

  2015年には団塊の世代(昭和22年~昭和24年生まれ)が65歳以上になりきります
  急速に進む高齢化の中で「介護保険制度」に関する課題を整理した報告書です
    介護保険制度による「高齢者の尊厳を支えるケア」の実現がメインです
    注目すべきは27ページから記載されている「介護予防」の視点です
      元気な高齢者の増加が力説されています

  10年以上が経過した現在、どのようになっているかを考えてみます

問いかけ 対応策 10年後の現状
 高齢者介護  団塊の世代は、それまでの高齢者とは職歴や価値観が大きく異なる。こうした世代が、介護サービスの利用者になるときに、介護サービスの内容や介護システムはどのように変わるべきか  「利用者本位」の介護保険にする
 高齢者の尊厳を支える介護  高齢者が自らの意思に基づき、自立した質の高い生活を送ることができるように支援する  生活の継続性を維持するための新しい介護サービス
・新しいケアモデルの確立
・介護予防・リハビリテーションの充実
・サービスの質の確保と向上
 介護予防・リハビリテーションの充実  介護を必要としない、あるいは、介護を必要とする期間をできるだけ短くするということが、高齢者にとって望ましい  介護予防を広い概念で捉えて、社会全体の取組みとして進めていく
 新しい介護サービス体系  在宅介護生活の維持の困難さと、特別養護老人ホーム等の施設入所希望の急増「切れ目のない在宅サービス」を提供する「小規模・多機能サービス拠点」の必要性  ・365日、24時間の安心」を提供する
・「地域包括ケアシステム」の構築
 痴呆性高齢者ケアの確立  高齢者人口の増大とともに、痴呆性高齢者が多数を占める  ・痴呆性高齢者に対応したケアを標準として位置付けていく
・介護サービスを担う事業者及びその従事者に対する研修の強化
・地域関係者のネットワークによる支援と連携等の仕組み
 サービスの質の確保と向上  高齢者へのサービス選択を支援する  ・利用者の立場に立ったケアマネジメント
・事業者からの情報の提供
・サービスの外部評価の実施
・介護サービス事業者の守るべき行動規範の確立
・劣悪なサービスを提供する事業者を市場から排除する仕組み

報告書が捉えているポイント、捉えていないポイント
  (1)「尊厳」を目標においた介護
    さまざまな局面において「尊厳の確保」が重要になる
      元気な高齢者の場合であっても「尊厳の確保」が必要なことは言うまでもない
      高齢者介護の場面にとどまらず、障害者福祉や児童福祉にも適用可能である

  (2)高齢者の新しい住まい方
    在宅生活と施設生活のどちらも選択しても、保険給付の水準に不公平が生じない
      「施設生活のようにサービスを享受できる自宅」と
      「自宅のように個人の生活空間が確保される施設」

  (3)元気な高齢者や家族も巻き込んだ包括ケアシステム
    要介護者以外の大勢の健康で自立している高齢者がどのような役割を担うのかが不明である
      地域包括ケアシステムが機能するためには、自立した高齢者達の支援が不可欠


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